仕事でミスをしたり、嫌なことがあったりすると「薬剤師を辞めたい」「別な仕事に就きたい」と考えてしまう薬剤師の方も多いのではないでしょうか?
もし、薬剤師を辞めたいと考えた時は冷静に行動しましょう。
薬剤師の辞めたい理由9つと対処法6つについて、ドラックストア勤務経験がある元病院薬剤師が説明します。
薬剤師を辞めたいと思ったときに自分のとるべき対処法が思い浮かぶ可能性が高いので、ぜひ最後まで読んでください。
転職回数が多い薬剤師向けの戦略をこちらの記事でアドバイスしています。
薬剤師を辞めたくなる9つの理由
「薬剤師を辞めたい」と考える人は「現在の職場に不満がある」場合が多く、同じようなことで悩んでいます。
ここでは薬剤師を辞めたくなる9つの理由を紹介します。
- 給与が安い・増えない・正当に評価されない
- 薬剤師業務にやりがいを感じない・向いていないと感じる
- 労働時間が長い
- 人間関係に悩んでいる
- 教育・研修体制が十分でない
- 仕事内容にギャップがある
- 仕事ができるようにならない・プレッシャーが強すぎると感じる
- 不本意な異動
- 出世が見込めない
自分に置き換えて、原因や解決方法を考えてみましょう。それぞれの理由を説明します。
給与が安い・増えない・正当に評価されない
どんな職業でも給与が安いとやる気が薄れて、辞めたいと考えてしまうでしょう。
特に評価システムがある場合、自分の努力で薬局が大きく成長しても、それが給与に反映されないような場合、より不満を抱えやすいです。
薬剤師の平均収入は日本人の平均収入より多いけれども、薬剤師全員の給与が多いわけではありません。
薬剤師の高年収と言うと、年収1000万円が一つの目安とされていますがなかなかそんな求人案件も多くありません。
年収1000万円以上求人案件の件数をこちらの記事で特集しています。
とくに調剤薬局では、役職自体が限られているので「昇進したくてもポストがない」という場合も多いです。
管理薬剤師など管理職への昇進がないのであれば、現職場で年収が急激増える可能性は低いので、転職して収入アップすることも検討しましょう。
登録おすすめの薬剤師専門転職エージェントをこちらの記事で比較しています。
薬剤師業務にやりがいを感じない・向いていないと感じる
まず「やりがいがない、向いていない」と感じる理由をはっきりさせましょう。
薬剤師業務に物足りなさを感じるのであれば、プラスαの資格取得を目指すことでやりがいが見つかる可能性があります。
専門性のある質の高い業務を行い、他職種から認められれば「やりがい」を感じられるでしょう。
しかし、こういった問題は、業務体制に問題がある場合もあります。
自分の努力などで解決できるのか、業務体制にも原因があるのかを検討して、業務体制にも原因がある場合は、転職も視野に入れましょう。
単に今の業務内容が「つまらない、向いていない」と感じるのであれば、業務内容の異なる薬剤師への転職の検討をおすすめします。
薬剤師自身が語る仕事のやりがいをこちらの記事で特集しています。
労働時間が長い
必要な人員確保ができず、そのために業務が多く労働時間が長くなっている場合と単純に労働基準法も守らず長時間労働を科せられている場合があります。
労働時間が長いと過労から心身の健康を保てなくなるので、お金(残業代)が支払われても労働意欲や満足度は下がっていきます。
そのような場合は有給休暇も取りにくいでしょう。
勤務条件についての交渉ができそうでないのであれば、他の職場を探して比較することをおすすめします。
人間関係に悩んでいる
薬剤師が働く場所は病院の調剤室であれ調剤薬局であれ「狭い」上に、働く人数も「少ない」ので相性の合う人ばかりなら良いですが、反対である可能性もあります。
同じ人・同じ場所・同じ業務というマンネリ化しやすい労働環境で、相性が良くない人がいるとストレスを大きく感じるかもしれません。
また人間関係の悩みの場合、「この理由で辞めていいの?」とこれ自体が悩みになる可能性もありますが、感じ方はいろいろです。
解決法の1つとして、上司に配置転換をお願いしてみましょう。
ただストレス源が直属の上司の場合、会社に直訴すること自体大きなストレスとなることもあります。
勤務先変更の検討も、1つの選択肢として考えてください。
ストレスが溜まると心身の健康を崩すので早期に対策を取りましょう。
薬剤師の人間関係について、効果的な対策方法をこちらの記事で特集しています。
教育・研修体制が十分でない
小規模薬局などでは教育体制がなかったり、研修への補助や薬局内の勉強会がないという場合もあります。
薬学も日進月歩で、資格を取って終わりではなく、日々新しい情報を身につけていく必要があります。
しかし、教育体制が不十分な薬局では薬剤師のモチベーションは下がってしまうでしょう。
仕事へのモチベーションが低下しては、仕事が楽しくないばかりではなく、薬剤師としての成長も止まる可能性もあります。
薬剤師としてスキルアップやキャリアアップを考えるのであれば、適した職場を探してみるのも良いのではないでしょうか。
仕事内容にギャップがある
企業に入社して、想像していた仕事と違うとギャップを感じるのはしばしばあることです。
企業によって業務の幅が異なることが原因です。
処方箋枚数が多い調剤薬局である場合、業務に追われ、患者さん対応に十分時間を掛けられず、そのことがギャップと感じる場合もあります。
また、処方箋を持って来る患者さんは、症状や年齢などさまざまです。
そのため「まだ僕の薬はできないの?」という患者さんもいて、「患者さんがこんなにいろいろ言うとは思わなかった」と患者さん対応に慣れていない新人の薬剤師は負担を感じるかもしれません。
仕事ができるようにならない・プレッシャーが強すぎると感じる
新人の時期に多い理由は「仕事ができるようにならない」です。
薬剤師業務に慣れていないうちに忙しい職場に配属されると感じるかもしれません。
また、人の命を預かっているため「間違ったお薬を渡した」「禁忌の併用薬を見落した」などの調剤過誤は許されず、プレッシャーも大きいです。
どんな仕事でもそうですが、専門職である薬剤師の仕事は特に「経験」「慣れ」そして「知識の積み重ね」が大切です。
この3つが揃わない頃に大変だと感じてしまうのは仕方のないことでしょう。
悩みの原因が自分が経験を積めばなくなるのか、職場の業務体制にも問題があるのかを検討して、職場に問題がある場合は転職も視野に入れて考えましょう。
不本意な異動
全国規模でチェーン展開している調剤薬局やドラッグストア、または医療グループの薬剤師や公務員薬剤師である場合には意に沿わない異動もあるでしょう。
実際、家庭の事情によっては異動できないこともあります。
そのような場合は申し出ることが可能な場合もありますが、その場合はその組織での昇進や昇給が難しくなる可能性もあることも心に留めておきましょう。
別の解決方法として挙げられるのは、転勤なしの薬剤師求人を探してみることです。
出世が見込めない
薬剤師の場合、昇進に伴って報酬も増えるので、上のポジションが埋まっていて昇進できない場合、辞めたくなる可能性もあります。
スキルが高い薬剤師であれば、若いうちに転職をする場合が多いです。
しかし、個人によって考え方はマチマチなので自分の価値観を大切に転職も検討することがおすすめします。
薬剤師を辞めたい時対処法6つ
「薬剤師を辞めたい」と考えた場合に取る対処法にはどのような方法があるのでしょうか。
ここでは薬剤師を辞めたい時にできる対処法について紹介します。
- 転職する
- 信頼できる人に相談する
- 休暇を取って心身を休める
- 資格を生かした副業を始める
- スキルアップ
- 派遣薬剤師に切り替える
転職する
薬剤師という職業ではなく、現在の職場に何らかの不満がある場合は、別の職場に転職することを検討してみましょう。
薬剤師が持つ悩みや問題の多くは職場に原因がある場合が多いので、転職することで悩みや問題を解決できる可能性が高いからです。
なお、転職する際は同じ悩みを持たないですむように、希望条件に優先順位をつけましょう。
希望条件上位の「譲れない条件」を満たす求人に絞って探せば、今の職場で感じる不満を持つリスクを減らせます。
信頼できる人に相談する
家族や友人など信頼できる誰かに「薬剤師を辞めたい」と相談して、自分の今の気持ちを話してみましょう。
誰かに相談することで気持ちが落ち着いたり、整理されたりして、悩みが解消することもあります。
話してみると「自分はこんなことを考えていたのか」と自分で驚くこともあります。
相手のアドバイスではなく、自分の気持ちを整理するのが目的です。
「知っている人には相談したくない」という方もいるかもしれません。
そんな方はSNSや各種労働相談窓口もあります。
調べてみて「ここなら」と思うところがあれば、相談してみるのも良いかもしれません。
休暇を取って心身を休める
疲れているとどうしてもものごとをネガティブに考えがちです。
そんな時は、休暇を取得して心身を休めましょう。
有給休暇2~3日でも十分効果がありますが、さらに長い休みが必要な場合もあります。
有給休暇が残っていれば長期休暇を取得できることもあるので、まずは職場に相談してみましょう。
無理な場合は休職も検討します。
疲れているときは重要事項の決定をせず、先延ばしにしましょう。
十分心身が回復して元気になってから、辞めるかどうかを考えましょう。
じっくり休めば、「やっぱり薬剤師は辞めたくない。また頑張ろう」と思えるかもしれません。
資格を生かした副業を始める
薬剤師の資格を生かした副業を始めることで、新しい収入源ができますし、自分の置かれた職場環境を客観的に見れるようになるかもしれません。
例えば、書くことを通じて薬剤師の専門性を発揮するのが、医療に特化したライターの「メディカルライター」です。
「どう書くと読み手に伝わるか」を考えることは「どう説明すると患者さんに分かってもらえるか」に似ています。
表現の工夫が本業のスキルアップにも繋がる可能性があります。副業の経験を本業の薬剤師業務にも活かせるというのが理想的です。
他にも、以下のような副業が薬剤師にはおすすめです。
- チャット相談アルバイト薬剤師
- 国家試験対策講座講師
- メディカルライター
- 翻訳
- ブログ運営
勤務時間、勤務地までの通勤時間など、まず余裕のある範囲で始めることをおすすめします。
薬剤師におすすめの副業の選び方についてはこちらの記事で特集しています。
スキルアップ
薬剤師の仕事をしていれば、当然、新しいことを学ぶ必要が出てくるのでスキルアップは欠かせません。スキルアップによって、まったく違う景色が見えてリフレッシュできるでしょう。
スキルアップしたい薬剤師におすすめの資格には以下があります。
- 研修実績を認定する「研修認定薬剤師」
- 漢方薬・生薬認定薬剤師
- 介護支援専門員
他のおすすめ資格をこちらの記事で紹介していますのでご覧ください。
「勉強したこと」を資格という形にしておくと専門性を補強することになり、活躍の場を広げることができる可能性があります。
派遣薬剤師に切り替える
都合のいい日だけスポットで働ける派遣薬剤師の働き方に切り替える方法もあります。
単発派遣求人を取り扱っている派遣会社を選びましょう。「数週間」「数ヶ月」など期間を決めて働く派遣薬剤師がおすすめです。
パート薬剤師と比較しても時給は高めですので、「〇〇までの△か月」などすき間時間を活用して、派遣薬剤師を視野に入れてみてはいかがでしょうか?
おすすめの薬剤師専門派遣会社をこちらの記事で比較しています。
まとめ
薬剤師の辞めたい理由と対処法を紹介してきました。薬剤師の仕事は、高収入で残業も少なく魅力ある仕事です。
自分が「働きたい」と思う職場は必ず見つかります。薬剤師は資格職なので転職を恐れる必要はありません。
できるだけ高収入で条件の良い求人を探しましょう。
よくある質問
薬剤師を辞めたくなる原因は?
薬剤師を辞めたくなる9つの理由を紹介します。
- 給与が安い・増えない・正当に評価されない
- 薬剤師業務にやりがいを感じない・向いていないと感じる
- 労働時間が長い
- 人間関係に悩んでいる
- 教育・研修体制が十分でない
- 仕事内容にギャップがある
- 仕事ができるようにならない・プレッシャーが強すぎると感じる
- 不本意な異動
- 出世が見込めない
自分に置き換えて、原因や解決方法を考えてみましょう。それぞれの理由を説明します。