薬剤師の仕事・職種は、まちなかのドラッグストア、薬局や医療機関での調剤業務だけではありません。
製薬企業、卸・流通業者、販売業、行政機関における許認可・監視指導業務など多岐に渡ります。この記事では薬剤師の主な職種9種類についてみていきましょう。
- 調剤薬局の薬剤師
- ドラッグストアの薬剤師
- 病院薬剤師
- 診療所の薬剤師
- 派遣薬剤師
- 在宅医療の薬剤師
- 製薬会社の薬剤師
- 製薬卸会社の薬剤師
- 公務員の薬剤師
調剤薬局の薬剤師
調剤薬局の薬剤師は、医師が処方した薬や一般用医薬品を患者さんに提供する際に、適切な用法・用量、副作用などの情報を伝え、安全かつ効果的な薬物療法を実現するための専門家です。
医療チームの一員として、患者さんの健康に関する情報を収集し、処方箋に基づいて薬の調剤・製剤・販売を行います。また、患者さんの健康管理や予防についてのアドバイスや、薬の効能や副作用などの情報提供も行います。
調剤薬局の薬剤師は、医師が処方した薬物療法の適正性を判断し、副作用や薬物相互作用などの問題を把握し、患者さんが薬を安全に使用できるようにアドバイスを行います。また、医療機関との連携を図り、患者さんの医療チーム全体での健康管理に貢献しています。
大きな病院の門前薬局などを除いて、多くの調剤薬局は少人数で運営します。少人数の職場ゆえに人間関係を円滑にするのも大切な仕事です。仕事量、休憩など職場の先輩・同僚への配慮を考えて業務に取り組むことが求められます。
調剤薬局の薬剤師の働き方、年収についてこちらの記事で特集しています。
ドラッグストアの薬剤師
ドラッグストアの薬剤師は、調剤薬局の薬剤師と同様に、医師が処方した薬や一般用医薬品を患者さんに提供する際に、適切な用法・用量、副作用などの情報を伝え、安全かつ効果的な薬物療法を実現するための専門家です。
ただし、ドラッグストアの薬剤師は、調剤薬局に比べて、販売する商品の種類が多く、医薬品以外の商品も扱っていることが多いため、患者さんの健康管理や予防についてのアドバイス、健康食品やサプリメント、化粧品などの商品に関するアドバイスも行います。
ドラッグストアの薬剤師の仕事内容は、調剤薬局の薬剤師と同様に、処方箋に基づく薬剤の調剤・製剤・販売、医療機関との連携、患者さんへのアドバイスや情報提供などです。ただし、ドラッグストアの薬剤師は、より幅広い商品に関する知識を必要とするため、商品知識を継続的に学ぶ必要があります。
OTC販売型と調剤併設型の2種類
ドラッグストアは、OTC販売型と調剤併設型の2種類に分類できます。
OTC販売型ドラッグストアは、調剤室のないドラッグストアです。OTC医薬品の中でも、第一類医薬品は販売時に薬剤師による服薬指導・情報提供が義務づけられています。
そのため、調剤室のないドラッグストアであっても、最低1人は薬剤師を配置していることが多いです。
調剤併設型ドラッグストアは、店内に調剤室を設けているドラッグストアです。処方箋枚数が多く、薬剤師が調剤業務に専念できる店舗もあれば、調剤業務とドラッグストア業務を平行して行わなければならない店舗もあります。
ドラッグストア薬剤師の働き方、大手チェーン別年収比較ドラッグストア薬剤師の働き方、大手チェーン別年収比較をこちらの記事で特集しています。
病院薬剤師
病院薬剤師の主な業務内容は以下の通りです。
- 調剤業務
- 服薬指導
- 点滴・注射薬の調整
- 薬物治療モニタリング(TDM)
- 医薬品情報業務(DI業務)
- 薬品の在庫管理・供給
調剤や服薬指導はもちろん、院内で使う医薬品の管理を行ったり、医師や看護師等他の医療職からの薬についての問い合わせに答えたりと病院薬剤師の業務は多岐に渡ります。
上記以外にも、院内の委員会に参加したり、外来化学療法に携わったりすることもあります。
年収は低め
病院薬剤師の年収は、調剤薬局やドラッグストアに比べると初任給の段階から低い水準となっています。
病院薬剤師の年収が低い理由として、以下の2点が考えられます。
- 院内薬局の収益が少ない
- 新卒に人気がある
他の業種で働く薬剤師に比べて年収が低い病院薬剤師ですが、医療の最前線で働ける病院薬剤師を志望する新卒の学生は多いです。
その一方で、薬局や調剤薬局併設型ドラッグストアの需要は高まり、各社が好待遇を提示して人材の確保に尽力しています。
病院薬剤師の仕事内容、年収が低い理由についてこちらの記事病院薬剤師の仕事内容、年収が低い理由についてこちらの記事で特集しています。
診療所の薬剤師
診療所の薬剤師は、病院の薬剤師と同様に医師と密接に協力して業務を行います。しかし、扱う薬品の種類は病院よりも少なくなります。診療所の医師の専門分野によって薬品は限定されるからです。
診療所の薬剤師の主な仕事内容は以下の通りです。
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薬剤の処方箋の確認と調剤業務:診療所で診察を受けた患者さんから処方された薬剤の処方箋を確認し、調剤することが主な業務です。
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患者さんへの薬の説明や服薬指導:薬剤師は患者さんに対して、薬剤の効果や副作用、服用方法などの説明を行います。
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医師との連携:薬剤師は医師と連携を取りながら、患者さんに適切な薬剤を提供します。
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薬の在庫管理:診療所で使用する薬剤の在庫管理も薬剤師の仕事の一つです。
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薬剤師としての業務の改善や見直し:薬剤師は、自身の業務の改善や見直しを行い、より良い医療サービスを提供するために努力します。
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医療機関内での情報共有:薬剤師は、医療機関内での情報共有を行い、患者さんに適切な医療を提供するために情報共有の役割も担っています。
診療所の多くが一人薬剤師の職場になります。
派遣薬剤師
派遣薬剤師は、企業と直接雇用契約を結ぶのではなく、派遣会社と雇用契約を結んだ上で様々な職場に派遣されて働きます。
正社員やパートとして働く場合の雇用主は勤務先の企業ですが、派遣薬剤師として働く場合の雇用主は派遣会社となります。
派遣薬剤師の雇用主は派遣会社であるため、福利厚生も就業先の企業の福利厚生ではなく、派遣会社の福利厚生が適用されます。
薬剤師の派遣会社では、産休・育休や各種保険など、正社員と同様に手厚い福利厚生が整備されています。
働き方の自由度が高く、給与の平均単価も比較的高いので人気です。ある程度実務経験があり、短期間で稼ぎたい薬剤師にはおすすめでしょう。
派遣薬剤師のメリット、デメリット、向き不向きの確認方法についてこちらの派遣薬剤師のメリット、デメリット、向き不向きの確認方法についてこちらの記事でまとめています。
また、おすすめの薬剤師派遣会社をこちらの記事で特集おすすめの薬剤師派遣会社をこちらの記事で特集していますのでご覧ください。
在宅医療の薬剤師
在宅医療における薬剤師の業務内容は以下のとおりです。
- 処方箋の調剤
- 患者宅への医薬品・衛生材料の供給
- 薬歴管理(薬の飲み合わせの確認)
- 服薬の説明(服薬方法や効果等の説明、服薬指導・支援)
- 服薬状況と保管状況の確認 (服薬方法の改善、服薬カレンダー等による服薬管理)
- 副作用等のモニタリング
- 在宅担当医への処方支援 (剤型・服用時期等を含む患者に最適な処方の提案)
- 残薬の管理、麻薬の服薬管理と廃棄
- ケアマネジャー等の医療福祉関係者との連携・情報共有
- 医療福祉関係者への薬剤に関する教育
ただ薬を届けるだけでなく、お薬カレンダーに薬をセットするなど、患者さんのライフスタイルに合わせて自宅で薬の管理をしやすいよう工夫する必要があります。
また、日常的に介護に関わっているスタッフに伝えたり、副作用の兆候が見られたときに医師に処方変更を提案したりと、他の医療・介護スタッフともコミュニケーションをとっていく必要があります。
在宅医療の薬剤師の役割、仕事内容、求められるスキルについてこちらの記事で特集しています。
製薬会社の薬剤師
製薬会社の薬剤師は、製薬会社が開発・販売する医薬品に関する様々な業務を担当します。一般的な業務内容は以下の通りです。
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医薬品の研究開発:医薬品の研究開発に関する業務を担当し、新薬の開発に取り組みます。
試験結果の解析や、研究計画の策定、新薬の試作品の調製、臨床試験の実施などが含まれます。 -
薬の情報提供:製薬会社の薬剤師は、製品の情報提供業務も担当します。
医療関係者への製品説明、医薬品の副作用情報の収集や報告、医薬品の適正使用に関する情報提供などが含まれます。 -
薬事業務:薬事申請や承認、製品の規制対応、医薬品の品質管理、輸入業務など医薬品の薬事業務に携わることもあります。
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医療関係者との情報交換:医療関係者との情報交換業務も担当します。新製品の情報提供や、学会発表、論文の執筆、学術的な情報提供などが含まれます。
製薬会社の薬剤師には、新薬の研究開発に関する専門的な知識と技術が必要です。また、医薬品の品質や効果、安全性に関する法規制に精通していなければなりません。
加えて、医療関係者との円滑なコミュニケーションが必要になります。
在宅医療の薬剤師の役割、仕事内容、求められるスキルについてこちらの記事で特集しています。
製薬卸会社の薬剤師
製薬卸会社の薬剤師の主な仕事内容は以下の通りです。
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薬の品質管理:製薬会社から仕入れた医薬品の品質管理を行います。製造元からの製品情報の確認や検査などを行い、安全で適切な医薬品を提供します。
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医薬品の販売・流通管理:薬剤師は、医薬品の販売や配送に携わり、製品の在庫管理や受発注業務、出荷業務を行います。
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医療機関とのやりとり:医療機関とのコミュニケーションを通じて、医療機関のニーズに応じた製品提供や、医療機関内での医薬品の情報提供、研修などを行います。
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薬剤情報の提供:医療機関に対して、製品情報や新薬情報などの提供を行います。
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品質保証や安全管理に関する業務:薬剤師は、製品に関する品質保証業務や安全管理に関する業務を担当します。
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社内での薬剤師業務の改善や見直し:薬剤師は、自身の業務の改善や見直しを行い、より良い医療サービスを提供するために努力します。
製薬卸会社の薬剤師業務では、法規制に関する知識、品質管理の経験、及び幅広い業務をカバーできるビジネススキルやコミュニケーションスキルが求められます。
公務員の薬剤師
公務員の薬剤師が勤務する場所には、国や地方自治体の保健所、病院、診療所、保険薬局、薬事監視局、薬事行政官等があります。また、薬務課や医療部門などの公務員の組織に所属することもあります。
公務員の薬剤師の難しい点は、公務員としての職務と、薬剤師としての専門知識と技術を両立させることが求められる点です。公的な医療機関における業務のため、正確かつ迅速な業務遂行、公正な判断力、誠実な対応など、公務員としての職業倫理やマナーを熟知し、遵守しなければなりません。
公務員の薬剤師は、主に以下のような業務を担当しています。
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薬の調剤や服薬指導:病院や保健所などの公的な医療機関において、処方された薬の調剤や患者に対する服薬指導を行います。
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医薬品管理:医療機関で使用する医薬品の管理を行います。
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医療の相談窓口:患者や医療従事者からの医療に関する相談に応じます。特に、薬剤師は薬に関する専門知識を持っているため、薬に関する相談には重要な役割を果たします。
■まとめ
薬剤師にはたくさんの選択肢があります。現在では、多くの職場で薬剤師は不足していますので、正社員、パート、派遣と自らの意思で容易に転職することが可能です。資格を生かして、自分が心地よいと思える職場を探しましょう。
よくある質問
薬剤師の働き方の種類は?
- 調剤薬局の薬剤師
- ドラッグストアの薬剤師
- 病院薬剤師
- 診療所の薬剤師
- 派遣薬剤師
- 在宅医療の薬剤師
- 製薬会社の薬剤師
- 製薬卸会社の薬剤師
- 公務員の薬剤師