「転職回数が多いけれどもいい条件で転職できるだろうか?」と悩んでいる薬剤師の方も多いのではないでしょうか?
転職回数の多さに悩む薬剤師の方のために、転職回数の多さをメリットに変える方法について、ドラッグストア勤務経験がある元病院薬剤師がまとめてみました。
具体的には以下の順番に紹介していきます。
- 薬剤師は転職回数が多いと不利?
- 薬剤師採用担当が転職回数より重視するポイントは?
- 転職回数の多さをメリットに変える方法は?
転職回数の多さをメリットに変える方法が思い浮かぶ可能性が高いので、ぜひ最後まで読んでください。
書類審査、面接で重要になる自己PRの例文をこちらの記事にまとめていますのでご覧ください。
薬剤師は転職回数が多いと不利?
薬剤師は他の職業と比較しても転職回数が多く、転職回数が多くても次の転職にあまり影響しない傾向があります。しかし、退職の原因によっては書類選考で落ちたりして、不利になる可能性はあります。
自分の転職回数が、転職活動で不利になるかどうかチェックするために以下のポイントを考えてみましょう。
- 薬剤師の転職回数は多い
- 転職回数そのものより「なぜ転職したか」が大切
- 【職場別】許容転職回数
以下で詳しく説明します。
薬剤師の転職回数は多い
薬剤師の転職回数は一般的に多いと言われています。厚生労働省の「令和2年転職者実体調査の概況」では、「医療・福祉」分野での転職者の割合は9.3%で、「宿泊・飲食サービス業(10.0%)」「不動産業、物品賃貸業(9.9%)」に続き第3位と高くなっています。
これは一般労働者に対する転職者割合の7.2%より高いです。
2020年からの新型コロナ禍による受診控えなどもあり、医療情勢の変化の予測は難しいです。それでも、コロナ禍が収まってくるにつれて以前の超「売り手市場」が戻ってくることも予想されています。
事前に十分な対策を行うことで、転職回数の多さは跳ね返しましょう。
転職回数そのものより「なぜ転職したか」が大切
転職と言っても理由はさまざまです。理由によっては、書類審査や面接で何の問題にならない場合もあります。
例えば、女性の薬剤師であれば、出産、育児、配偶者の転勤などのライフイベントが原因の退職であれば何の問題もありません。
ライフイベントが理由でも、回数があまりに多いと不自然なので気をつけましょう。また、3年以内に退職する回数が多いと、長く勤めてくれないイメージがついてしまうかもしれません。
転職時期はライフイベントに合わせることを意識しましょう。
男女関わりなく、以下の理由での転職はあまり問題になりません。
- 年収への不満
- スキルアップできる環境で働きたい
- 転居など外的要因
ただし、上記の場合でも、短期間に転職を繰り返している場合は転職活動が難航する可能性があります。年収アップが目的の転職であっても、給与交渉がしづらくなります。
志望動機の作り方はこちらの記事で特集しています。
【職場別】許容転職回数
職場タイプによって許容される転職回数にも傾向があります。
ここでは、3つの職場の転職回数について紹介します。
- 調剤薬局・ドラッグストア
- 病院
- 企業
調剤薬局・ドラッグストア
調剤薬局やドラッグストアは常に人材が不足しているので、人柄に問題がなければ、転職回数は多くてもほとんどは採用されるようです。
とはいえ、転職回数が5回以上だったり、調剤薬局→病院→調剤薬局のような出戻り転職をしている場合などは転職理由を深堀りされるかもしれません。
ドラッグストアの転職必勝戦略をこちらの記事で特集しています。
病院
病院への転職難易度を決めるのは、施設規模と求められる業務の難易度です。
100〜300床程度の中規模病院、慢性期の病院なら転職難易度は低く、2〜3回の転職回数なら転職できる可能性が高いです。
一方、以下のような大きな病院での転職難易度は前述の病院よりアップするので、転職回数1〜2回が許容範囲でしょう。
- 国公立病院
- 民間の500床以上の大規模病院
- 急性期病院
病院勤務の薬剤師の平均的な年収相場、仕事内容についてこちらの記事で解説しています。
企業
製薬会社は新卒一括採用の土壌が強いため、転職自体が難しいです。多くても1回が限界でしょう。一方、外資系製薬会社は中途採用もあり、転職回数にも寛容なようです。
薬剤師採用担当が転職回数より重視するポイントは?
採用担当は応募者をどのような観点からみているのでしょうか?
ここでは、採用担当が転職回数より重視するポイント3つを紹介します。
- 長く働いてくれる人材か(今度は大丈夫か?)
- 会社に貢献してくれそうか(転職の回数分のスキルは?)
- 会社に馴染めそうか(人間性に問題はないか?)
以下で、1つずつ詳しく説明します。
長く働いてくれる人材か(今度は大丈夫か?)
社員の採用活動には費用がかかるので、採用した人にはできる限り長く働いてほしいと、採用担当は考えています。
つまり、転職回数よりも「長く働く気がある人かどうか」を見ています。
逆に言えば、「長く働いてくれそうな人だ」と思ってもらえれば良いのです。
「長く働いてくれそうな薬剤師のイメージ」は以下です。
- 退職理由は、会社都合もしくは他人からみても妥当なものばかりである
- キャリアアップをとても大事にする
- 職場での人間関係をうまく構築できる
対策を立てることでイメージに沿えそうなものもありますが、そうでないものもあるでしょう。
いずれにしても、採用担当は入社すれば長いお付き合いになります。嘘で飾っても仕方ありません。
会社に貢献してくれそうか(転職の回数分のスキルは?)
採用担当は、過去の転職回数よりも、これから先の仕事で大いに活躍し、この会社に貢献してくれそうな人材かどうかを見ています。したがって、以下が選考の主要なポイントになります。
- 薬剤師としての専門知識や経験、スキル
- 応需できる診療科の多様さ
- 学ぶ姿勢
- 仕事への意欲
- 入社後のビジョン
経験年数、チーム医療や在宅訪問の経験など、薬剤師業務の中で転職回数を重ねた分のスキルを明確に示せるようにしておきましょう。
薬剤師としてスキルアップするための資格取得戦略について、こちらの記事で解説していますので併せてご覧ください。
会社に馴染めそうか(人間性に問題はないか?)
一緒に仕事をする社員として、この会社に馴染める人間性かどうかも重視するポイントです。会社にうまく馴染めなければ、入社しても長くは勤められない可能性があるからです。
応募時・面接時は挨拶や態度に十分注意を払って、コミュニケーション能力の高さをアピールしましょう。
薬剤師で起こりがちな人間関係のトラブルの種類、対策方法についてこちらの記事で解説しています。
転職回数の多さをメリットに変える方法は?
自分ではネガティブにしか考えられないことの多い「転職回数の多さ」ですが、転職回数の多さをメリットに変える方法はあるでしょうか?
ここでは、転職回数の多さをメリットに変える方法を3つ紹介します。
- 理由をポジティブなものにする
- 職歴に一貫性のある理由付けをしておく
- 経験・スキル・ポテンシャルの高さを上手にアピールする
以下で、1つずつ詳しく説明します。
理由をポジティブなものにする
転職の理由がネガティブな場合、ポジティブに変換しましょう。
転職回数が何回であっても、最小限「前の勤務先を退職した理由」は質問されます。その時に過去の職場の不満などを口にするのは、採用担当者に良くない印象を与えるので控えましょう。
逆に前向きな姿勢を見せることで良い印象を与えることができます。
しかし、転職理由を本来の理由とかけ離れたものにしてもバレてしまうものです。以下を参考にして可能な範囲で言い換えをすることをおすすめします。
転職理由:人間関係に悩んだ ネガティブな理由:「意地悪な先輩に虐められて、耐えきれず辞めました。」 ポジティブな理由:「環境を変えて、新しい環境で新しい仕事に打ち込みたい。」 |
転職理由:社風が合わない ネガティブな理由:「前の会社はこういうところがひどくて、上司もこんなに悪い人で…。」 ポジティブな理由:「御社の〇〇という考え方に共感しました。御社で働き、新しい気持ちでチャレンジをしたい。」 |
転職理由:仕事がつまらない ネガティブな理由:「毎日同じような仕事ばかりの今の仕事に飽きました。」 ポジティブな理由:「これまでの会社ではしていなかった新しい仕事をしてみたい。もっと◯◯について学べる環境で働きたい。」 |
転職理由:社風が合わない ネガティブな理由:「前の会社はこういうところがひどくて、上司もこんなに悪い人で…。」 ポジティブな理由:「御社の〇〇という考え方に共感しました。御社で働き、新しい気持ちでチャレンジをしたい。」 |
転職理由:年収が低くて不満 ネガティブな理由:「今の会社は年収が低くて…。」 ポジティブな理由:「自分のキャリアビジョンを実現して、収入面でも高みを目指したい。今まで以上に仕事に打ち込み、収入も満足いくものにしたい。」 |
職歴に一貫性のある理由付けをしておく
自分にはキャリアプランがあり、これまでの転職はそのキャリアプランを築くために必要なものだったことを、採用担当者が納得できる理由で説明できるようにしておきましょう。
転職回数が多いことを変えることはできません。しかし、職歴に一貫性があれば、「キャリアプランを築くため」と理解してもらえるでしょう。
経験・スキル・ポテンシャルの高さを上手にアピールする
転職回数の多い人は、薬剤師として働いてきた経験やスキルを上手に表現してアピールしましょう。
例えば、調剤薬局なら調剤スキルに関してアピールします。ただ、見当はずれなアピールにならないように、企業研究を十分に行い、応募先がどのような業務を行っているのか知った上でアピールしましょう。
まとめ
転職回数の多さに悩む薬剤師の方のために、転職回数の多さをメリットに変える方法を紹介してきました。
採用担当は長く働いてくれそうかなどを見ています。転職回数が多いことを変えることはできませんが、対策を立てることはできます。
採用担当に「長く働いてくれそうな人だ」と思ってもらえるよう、事前に十分に対策を立てて、新しい職場を見つけましょう!
よくある質問
薬剤師は転職回数が多いと不利?
薬剤師は他の職業と比較しても転職回数が多く、転職回数が多くても次の転職にあまり影響しない傾向があります。しかし、退職の原因によっては書類選考で落ちたりして、不利になる可能性はあります。
自分の転職回数が、転職活動で不利になるかどうかチェックするために以下のポイントを考えてみましょう。
- 薬剤師の転職回数は多い
- 転職回数そのものより「なぜ転職したか」が大切
- 【職場別】許容転職回数