製薬会社で働く薬剤師は高年収というイメージがありますよね。
実際に年収アップを目指して薬局やドラッグストアから製薬会社への転職を目指す人も多いです。
一言で製薬会社の薬剤師といってもその業務内容は幅広く、職種によって業務内容や平均年収は大きく異なります。
この記事では、製薬会社で働く薬剤師の年収と主な業務内容、薬剤師が製薬会社で働くメリット・デメリットについて解説します。
難易度が高いと言われる製薬会社への転職を成功させるコツについても解説しますので、製薬会社への転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
ドラッグストア、製薬会社など薬剤師の多彩な職場種類について、こちらの記事でまとめていますので併せてご覧ください
製薬会社で働く薬剤師の平均年収は高い?
製薬会社で働く薬剤師の平均年収は、他の業種の薬剤師の平均年収よりも高い傾向にあります。
下記の表に業種ごとの平均年収をまとめました。
業種 |
平均年収 |
---|---|
病院 |
434.6万円 |
ドラッグストア |
512.5万円 |
調剤薬局 |
488.3万円 |
製薬会社 |
532.4万円 |
製薬会社で働く薬剤師の平均年収は、4つの業種の中でもっとも高いです。
初任給の段階では、他の業種とそれほど差はありませんが、製薬会社の薬剤師は経験を積み、スキルアップすることで昇給しやすいと言われています。
製薬会社の薬剤師の年収相場
統計値 | 年収 |
---|---|
最高値 | 10,000,000円 |
最低値 | 3,300,000円 |
中央値 | 5,324,231円 |
件数 | 52 |
製薬会社の薬剤師の求人案件は52件あります。
製薬会社の薬剤師の最高値は1000万円です。これは全体と比較して-300万円で76.9パーセントです。
一方、製薬会社の薬剤師の年収相場は、最低値が330万円です。これは全体と比較して+108万円で148.6パーセントです。
製薬会社の薬剤師の中央値は532.4万円です。これは全体と比較して+31万円で106.2パーセントです。
参考:全国の薬剤師年収相場(薬剤師の転職.comデータベースより)
最高値 | 13,000,000円 |
---|---|
最低値 | 2,220,000円 |
中央値 | 5,014,198円 |
件数 | 69,202 |
製薬会社の薬剤師の年収上限額分布
年収(円) | 求人件数 |
---|---|
~3,000,000 | |
~3,500,000 | |
~4,000,000 | |
~4,500,000 | |
~5,000,000 | |
~5,500,000 | |
~6,000,000 | |
~6,500,000 | |
~7,000,000 | |
~7,500,000 | |
~8,000,000 | |
~8,500,000 | |
~9,000,000 | |
~9,500,000 | |
~10,000,000 | |
10,000,001~ |
製薬会社の薬剤師の年収下限額分布
年収(円) | 求人件数 |
---|---|
~3,000,000 | |
~3,500,000 | |
~4,000,000 | |
~4,500,000 | |
~5,000,000 | |
~5,500,000 | |
~6,000,000 | |
~6,500,000 | |
~7,000,000 | |
~7,500,000 | |
~8,000,000 | |
~8,500,000 | |
~9,000,000 | |
~9,500,000 | |
~10,000,000 | |
10,000,001~ |
製薬会社薬剤師の仕事内容
製薬会社の平均年収は一般的に高い傾向にありますが、職種によっても異なります。
ここからは、職種別の仕事内容と平均年収について解説します。
研究開発職
研究開発職は、新薬の開発に携わる仕事です。「研究開発職」という職種で募集されていることが多いですが、実際には研究職と開発職に分かれています。
研究職では、新しい成分の発見や病気の原因解明など、薬の開発に必要な情報を集める基礎研究、そして基礎研究で得られた成果を製薬につなげる応用研究を行います。
一方、開発職は、臨床試験をスムーズに進めて製剤の安全性・有効性を立証し、製剤販売承認を得る仕事です。
業務内容は異なるものの、研究職と開発職の平均年収はほぼ同じで、どちらも約500万円です。
管理薬剤師
製薬会社の管理薬剤師は、おもに医薬品の管理を担当します。
医薬品を扱う場所では1拠点に一人は管理薬剤師が必須とされており、自社医薬品・取り扱い医薬品の品質管理業務や在庫管理、薬機法の法令遵守、従業員のマネジメント等の業務を行います。
管理薬剤師の年収は約600万円です。
医薬品情報担当者(MR)
医薬品情報担当者(MR)は、製薬会社における営業職です。
医療機関を訪問し、自社の医薬品の有効性や安全性についての情報を医師や薬剤師に伝えたり、医療現場で実際に使用してわかった効果や副作用についての情報を集めたりします。
平均年収は700万円ほどですが、外資系の場合は年収1,000万を超えるところもあります。
治験コーディネーター(CRC)
治験コーディネーター(CRC)の業務は、治験がスムーズに行われるように調整することです。
患者や医療機関の治験担当者への説明などを行う他、正しく臨床試験が行われていることを確認する審査官の役割も担っています。
平均年収は約700万円です。
品質管理・品質保証
品質管理・品質保証の部門では、医薬品の原料や製品の品質にばらつきが出ないように、品質管理試験やデータ解析を行います。
医薬品の設計から承認、製造、品質確認試験、流通、適正使用まで、製品に関するすべての品質管理業務に関わり、リスクマネジメントが求められる職種です。
平均年収は約600万円です。
学術職(DI)
学術職(DI)は、関連文献の検索や臨床試験で確認された副作用等に関する情報収集などを行います。
他にも最新の情報をもとに資料を作成したり、MRへの薬学知識の研修を行ったりと、デスクワークが中心の職種です。
また、臨床現場で働く医師や看護師、薬剤師からの自社の医薬品についての問い合わせにも対応します。
平均年収は約700万円です。
薬事
薬事の主な業務は、医療用医薬品の製造販売・輸入販売をするために、厚生労働省に薬事申請を行う仕事です。
申請に必要な書類の作成などを担当しますが、新薬の承認申請はあまり行うことがないため、通常時は添付文書の作成や改訂がおもな業務となります。
薬事の年収は、400万円〜1,000万円とかなり幅があります。これは、他業務を兼務しているケースが多く、その業務内容によっても年収に差が出るためです。
薬剤師が製薬会社で働くメリット
薬剤師が製薬会社で働くメリットは以下のとおりです。
- 年収が高い
- 福利厚生が充実している
- スキルアップできる
さきほど述べたように、製薬会社で働く薬剤師の平均年収は、他の業種の薬剤師の平均年収よりも高い傾向にあります。
職種やスキルにもよりますが、薬局や病院から製薬会社に転職すれば、100万円以上の大幅な年収アップも実現可能です。
また、大手製薬会社は福利厚生が充実しています。働き方改革に取り組んでいる企業も多いです。
薬局やドラッグストアは土日祝も仕事であることが多く、長期の連休は取りにくい傾向にあります。
一方、製薬会社は土日休みで、年末年始や夏季休暇などもしっかりととれるところが多いです。
ワークライフバランスを重視したい人や家庭と仕事の両立を目指す人にとって、働きやすい環境と言えます。
製薬会社で働く薬剤師は、実際に臨床現場で患者さんと関わることは少ないですが、論文を読んだり、学会に出席したりする機会は多くなります。
英語力を磨いたり、最先端の研究内容に触れたりと、業務を通して薬剤師としてさらにスキルアップできるでしょう。
薬剤師が製薬会社で働くデメリット
年収や福利厚生などの待遇面でメリットの多い製薬会社ですが、デメリットも存在します。
薬剤師が製薬会社で働くデメリットは以下のとおりです。
- 転勤や出張がある
- 就職難易度が高い
1つ目は、転勤や出張があることです。
とくに医薬情報担当者(MR)は2〜3年ごとに転勤があるのが一般的です。
また、その他の職種であっても学会や研修に参加するために出張が多いです。
環境の変化が苦手な方や家庭を持っている方にはデメリットとなるでしょう。
2つ目は、製薬会社は非常に人気の高い就職先であり、入社するのが難しいことです。
薬剤師の免許が必須ではない職種もあり、薬学部卒ではない人も多く志望しています。
とくに研究開発職では、大学院卒でなければ就職が難しいです。
薬剤師が製薬会社に転職するための3つのポイント
調剤薬局やドラッグストアの求人に比べて製薬会社の求人は少なく、転職難易度はかなり高いです。
最後に薬剤師が製薬会社に転職するための3つのポイントを紹介します。
自分の持つ資格やキャリアに合わせて求人を選ぶ
ここまで解説してきたとおり、製薬会社の薬剤師にはさまざまな職種があり、それぞれ求められる資格やスキルが異なります。
職種 |
おもな求められるスキル |
---|---|
研究開発職 |
データ分析、論理的思考力 |
管理薬剤師 |
医薬品や医療制度についての知識、マネジメント力 |
医薬品情報担当者(MR) |
コミュニケーションスキル |
治験コーディネーター(CRC) |
治験実施計画書を理解する力、事務処理スキル |
品質管理・品質保証 |
資料作成のスキル、提案力 |
学術職(DI) |
英語力、情報収集スキル |
薬事 |
資料作成スキル |
調剤薬局やドラッグストアとは異なるスキルが求められるため、自分のこれまでの経験や強みを活かせる職種を選ぶようにしましょう。
薬剤師のキャリアを積んでから転職する
製薬会社の薬剤師はどの職種を選んだとしても、ベースには医薬品や医療制度についての知識が必要です。
薬剤師としてのキャリアをしっかりと積み、医薬品についての専門知識を身につけておけば転職の際の強みとなります。薬学部以外の大学の出身者との差別化にもなるでしょう。
まだ薬剤師として働きはじめて間もない人は、薬剤師としてのスキルを身につけてから転職を検討しましょう。
薬剤師が+αで取得してスキルアップできるおすすめ資格をこちらの記事で解説しています。
転職エージェントを利用する
難易度の高い製薬会社への転職を成功させるためには、転職エージェントの利用が必須です。
製薬会社の求人は一般には公開されていない非公開求人であることも多いので、転職エージェントに登録して情報収集を行いましょう。
転職エージェントによって、強みとしている業種が異なるため、企業求人に強い転職エージェントを選ぶことが大切です。
転職エージェントに登録することで、求人を紹介してもらえるだけでなく、自己分析や応募書類の作成、面接対策など転職成功に向けた様々なサポートを完全無料で受けられます。
薬剤師の転職活動でおすすめの転職エージェントをこちらの記事でまとめています。
まとめ
この記事では、製薬会社の薬剤師の年収や業務内容、製薬会社に転職する方法について解説しました。
薬剤師の就業先の中でも年収が高く、福利厚生なども充実している製薬会社は転職希望者が多く、転職難易度は高いです。
製薬会社への転職を成功させるためには、しっかりとした情報収集と自己分析を行い、自分の強みやキャリアを活かせる企業、職種を選ぶことが大切です。
転職エージェントを上手に活用して十分な準備を行った上で転職活動に臨みましょう。